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フロント・ページ(1974年製作の映画)
3.4
絞首刑を間近に控えた死刑囚の事件を背景に、結婚を機に仕事を辞めようとする記者と新聞社の編集長をコメディタッチで描いた、ビリー・ワイルダー監督のコメディドラマ映画。原作はベン・ヘクトとチャールズ・マッカーサーによる1928年の同名戯曲であり、本作も含めて何度も映画化されているだけでなく、TVドラマとしても何度も放映されるとともに、ミュージカルとしても上演されている人気作品である。

そのような戯曲がベースになっているので、内容はお墨付きであり、安心して鑑賞することはできる。ジャック・レモンのコミカルな演技は、若い頃のキレは期待できないけれど、やっぱり好きはである。でも、すでに二回共演しているウォルター・マッソーとの三度目の共演という観点で見ると、コンビとしての相乗効果が本映画では活かされていないように思えるのがとても残念。実際に、ビリー・ワイルダーは、観客が台詞をしっかりと聞き取れるように、二人のしゃべりがオーバラップするような台詞回しを許さなかったようである。

そういう意味でも、ビリー・ワイルダー監督が撮るべき映画かというと、うーんと考え込まざるを得ない。ビリー・ワイルダーという名前を見ると過度に期待してしまうだけに、ビリー・ワイルダーが撮る必然性は見い出せない。ビリー・ワイルダー自身もリメイクには否定的だったように思うが。なお、ジャック・レモン演じる記者のフィアンセとして出演している、まだキャリアの浅いスーザン・サランドンが見れるのは貴重かもしれない。
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