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フロント・ページのHKのレビュー・感想・評価

フロント・ページ(1974年製作の映画)
3.7
もうウン十年ほど前にTVの洋画劇場を観て以来の鑑賞です。
タイトルの“フロント・ページ”(原題同じ)とは新聞の第一面のこと。
新聞記者の特ダネ記事争奪戦を描いたドタバタ・コメディで原作は戯曲。
後期の作品でパワーは落ちているとはいえ巨匠ビリー・ワイルダー作品にハズレ無しで安心して観れる作品ではあります。
しかも主演はジャック・レモンとウォルター・マッソーの名コンビ。

しかしながら、実は以前TVで見たときはもっと大笑いした記憶があり、今回も面白くはあったんですが、ナゼかちょっとモノ足りない。
なぜかと思って以前観たときとの違いを考えると、TV版は吹替だったこと、さらに放送枠の都合で尺が15分程切られていたこと。

なるほど、尺をカットした結果テンポが良くなり、吹替のため逆にセリフの情報量が増えてTV版の方が面白いと感じるケースはけっこうあります。とくにアクションやコメディ作品で。
ベテラン吹替声優たちの名人芸もこれに一役買っており、本作のレモンは極めつけの愛川欽也、マッソーの上條恒彦とのコンビネーションも抜群(声が脳内で蘇ります)、吹替版収録のDVDが出ていないのが真に惜しいと思います。
また後で知りましたが、あるレビュワーさんは本作は特に字幕のセンスが悪く本来の面白さが半減していると書いていました。

セリフが多い作品の場合、字幕では情報量をカバーできず(50%以下になることも)、とくにウッディ・アレンやエディ・マーフィのようなマシンガン・トークだと確かに全然追いついていないのが明らかで、アレン主演の『アニー・ホール』でも吹替の方が面白かったという似た思いをした経験があります。
本作も吹替の方だと評価点がもっと上がる気がするんですが。
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