うりた

泥の河のうりたのレビュー・感想・評価

泥の河(1981年製作の映画)
4.0
日本の貧困のこと、戦争のこと、子供の家庭環境のこと…2時間もない映画でたくさんのことを考えさせられた。
そういったことを考えずにストーリーを追うだけでも、子供の頃の気持ちを思い出せるノスタルジックな映画。

子供の頃はお金が無くても些細なことが楽しくて、時に残酷で、感情を言葉にするのが難しかった。それはいつの時代の子供でも変わらないだろう。
最後にきーちゃんの家へ行った日から、子供のキャパでは気持ちに整理をつけられなくて、そこから繋がるラストはひと夏の夢みたいで切なくて良かった。

うどん屋のお父さんの子供との向き合い方が尊敬できる。風邪引いたら休ませようとしてくれるしいいお父さんだ。
だけど、お父さんには希死念慮があるのかなってちょっと心配になってしまった。
確かにあの環境で人々のあっけない死に触れてしまっては、何のために戦地で頑張ったんだろうという虚しさもあるだろう。
だけどやっぱり子供のためにこれからは頑張って生きて欲しい。
戦争を経験した人のこういう感覚ってもうなかなか聞けないから、ある意味新鮮でもあったし印象に残った。

加賀まりこのオーラがすごかったです。
カメラワークも凝ってて白黒の映像が美しかった。
アカデミー賞ノミネートされたのも納得。
うりた

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