にゃんにゃん

泥の河のにゃんにゃんのレビュー・感想・評価

泥の河(1981年製作の映画)
4.6
「㊙色情めす市場」を撮影した安藤庄平が撮影。安藤庄平から聞いてこの映画を見出した田中登が、同じキャメラマンで同じモノクロで、こんなに迫り方が変わるのか、キャメラマンとは妙な動物だ、すごい感性だと語っていた。というので観始めたけど、こんなん泣くやろ。子役3人、特にきっちゃんの輝き。瞳のでかさがバグりまくってる加賀まりこのすごい存在感。このべっぴん銀子ちゃんが将来トメちゃんみたいになっていくのかみたいな諦念。学校にも行かせてもらえない娼婦の子供たち、差別されたり腫れ物に触るみたいな扱いをされたり、そんな中で主人公の両親はかなりフラットに子供たちに温かく接するけれど、その優しさがむしろつらい。新聞ではもはや戦後ではないと書き立てられながら、大人たちの心にいまだ深い濃い影を落としている戦争体験。友達だけど友達になれないと悟る瞬間。どれだけ追っても声が出なくて、やっと声が出て、叫んで、だけど届かない。私には語彙力がなくてうまく表現ができないけれど、本当に佳き映画。
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