昼行灯

カイロの紫のバラの昼行灯のレビュー・感想・評価

カイロの紫のバラ(1985年製作の映画)
3.7
ラストが悲しいような悔しいような🥺現実じゃなくて夢の中に入り込んでしまえばよかったと思う。どうせ現実で駆け落ちしても捨てられるのだから…セシリアの唯一の楽しみが映画なわけで、彼女はこれから先辛いことから逃れようとする度に彼と出会った映画に対峙し続けるのかと思うとやるせない。
セシリアはいうて何度も家出しようとする行動力のある人だから、今後も夫の抑圧に抗おうとしてほしいな

とはいえラストまでは夢のような三角関係で少女漫画みたいだった。キートンとかアステアとかウディ・アレンの映画愛も炸裂してたし、黄金期の映画館の様子がうかがえてわくわくした。

あと女性観客を描いた点でフェミニズム映画批評にとってかなり重要。セシリアはイケメン俳優に恋をするけど、その相手役のヒロインには同一化しない。男性観客の映画鑑賞と女性観客のそれは違うのか?そもそもこの映画全体がセシリアが物語世界に参入しているという幻想の状態を描いたものだったのか(劇中劇と映画の題名が同じ)?わかりやすい物語ではあるけど、そこで起こっている内容は複雑😞

第四の壁を突き抜ける場面の撮り方見事だった。どこでカラーと白黒を切り替えるのかと思ったけど、スクリーン全体ではなくスクリーンの一部を映すことで自然にやり遂げてた。そういえば映画の始まりもセシリアが正面に向かっているショットからだった。まるで劇中劇、本編問わず登場人物たちが私たちにも第四の壁を介して語りかけてくるかのような入れ子構造。
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