346

カイロの紫のバラの346のレビュー・感想・評価

カイロの紫のバラ(1985年製作の映画)
3.7
観たよ。
ラストアクションヒーローって、ここが原点だったのか。

すごくロマンティックで、「私のハートがフェードアウトした」なんて台詞にうっとりもした。
クライマックスまでは大好きだった。

でも、ん?
いや、ん?
なんだろう?最後のオチがみんな好意的すぎて。ほんとにそうか?
ミア・ファローすごくいい表情をするのだけど、なんだか自分は悲しくて仕方なかったよ。フレットアステアの踊りが美しければ美しいほどに。

全然内容は違うけど、同監督のブルージャスミンも、理想の人生を夢みた女が、現実に打ちのめされる話だけど、あの終わり方とは似て非なるもんだよ。あれには、愛があると思った。
ウディ・アレンの作為という優しい光があれにはあった。

なぜだろう?
多分、個人的な思い入れが出ちゃってるんだけど、これが、映画を題材にしてるからかも。
だって、この映画を観る価値ってなに?『現実は痛く苦しいけど、映画を観ていると夢の世界に浸れるでしょ?映画って素晴らしいもの』と、ミア・ファローの表情が語ると言うなら、このカイロの紫のバラという映画を観ている自分は、どこに浸ればいいんだろう。彼女の現実の表情には浸れないよ…。
もし、彼女の現実に一筋の光でも見えてたら全然違った印象になったと思うけど、それをギルの最後の表情に見出すには弱すぎるし。


映画は現実を忘れさせてくれる美しいもの。確かに自分もそう思う。なぜなら、忘れてしまった現実の時間の数だけ、その美しい映画が心に焼き付くから。そして、それを思い出すだけで、自分が特別な存在になれるから。だから、映画には夢をみたい。
現実はドキュメンタリーにまかせておきたい。

そんな夢みがちな自分にとっては、最後はかなしすぎました。
346

346