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私をスキーに連れてってのNowLoadingのレビュー・感想・評価

私をスキーに連れてって(1987年製作の映画)
3.7
 本日の一本。

 嗚呼今はなきバブル真っ只中。金曜日退社した足で、リトラクタブルライトのセリカを駆って関越道練馬ICの坂を駆け上がる。日が登ればそこは一面の雪景色。ここは信越志賀の焼額山。そっちもこっちも若いスキーヤーでゲレンデは溢れている。この光景こそが僕にとっては異世界そのものである。

 こんなことを言えるのは他でもない、昨シーズン志賀高原に滑りに行ったからだ。するとどうか。いるのはあの頃のスキーヤーであっただろうオジサンオバサンとかスキー合宿に来た大学生と僕らのようなもの好き位なものであった。往年の志賀高原プリンスホテルは一階の客室をバイトの寮として流用し、立派なレストランはどこか寂しげだ。何より悲しかったのは映画の向こうで行列をなすリフト待ちの列と対照的に、なんとゴンドラリフト二本動かしてあと休止という非情な現実である。

 この映画がかつて大ウケしていた理由も良くわかる。スクリーンの向こうが眩いほどキラキラしている。うまくいかないこともあるが、それでもゲレンデには行かずにはいられない!という20代の青春がまるで雪に照り返す太陽光のよう。ちょっ、キラキラってかギラギラしている。ユーミンのMVかと思わせるような楽しげな仲間たちが日本の栄華を今の僕に見せつけるわけだ。楽しいことしない?みたいな。俺だってなぁ!スキー板履いて股抜かせるアレめっちゃやりたいよ!でもそんな奴いまいねぇの!今の子ボーダーしかいないんだから!

 映画が始まってすぐに登場するヒロイン原田知世がゲレンデの天使かと思わせるめっちゃカワイイ。これだけでこの映画はもう大成功間違いなし。若者はゲレンデロマンを求め雪山へ四駆を走らせるって訳だ。

 彼らは一見するとダメリーマンに見えるだろうが、中身は商社マンに執刀医等々と明らかにエリート街道を進む人間ばかり。ただスキーが好きで毎週末ゲレンデ中毒かましているだけということ。パワフルなクルマや最新のスキーウェアとか、めっちゃキラキラを突き詰めた映画だ。

 あの頃を知る人ならばこの映画を嫌いになる理由はあまり感じられない。しかし、現代の価値観とは遠くかけ離れてしまっているので今の人達にいい映画でしょ?と勧めるのはいささか憚られるかもしれない。(志賀高原→万座のコース外滑走だとか、スノーダートよろしく公道最速伝説を始めるあたりはアタマのネジが外れているわと思わざるをえない)
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