うにたべたい

大菩薩峠 完結篇のうにたべたいのレビュー・感想・評価

大菩薩峠 完結篇(1961年製作の映画)
4.2
大映版大菩薩峠・完結編。
前作ラストでこんどこそ相まみえた机竜之助と宇津木兵馬ですが、竜之助は断崖から滑り落ち、お豊に手を引かれて山中をさまよう。
兵馬は竜之助を再び見失い、竜之助の旅が続くという展開です。

完結編では、監督が一作目、二作目の三隅研次から森一生に交代します。
キャストは変わらず、監督交代による違和感は感じませんでした。
一作目、二作目を楽しめた人は引き続き楽しめると思います。

ストーリーの大部分は、机竜之助が旅中で出会った女性たちとのあれやこれやでした。
お豊は遊郭で働くのですが、病にかかりあっさり退陣。
その後、お豊から手紙を預かるお玉、生花の師匠・お絹、薬売りのお徳、三度目の中村玉緒・お銀と、次から次へと新しい女性に出会っては分かれていく、怒涛の100分でした。
特にお銀で三役目の中村玉緒が出てきたのはビビりました。
映画では説明はなかったですが、原作では顔が一緒であることに何か理由があったのでしょうか。
また、新しい女性が次々出てきますが、肝心のお松が本作では登場しません。
そもそもこの子の祖父が竜之助に斬られたのが、事の発端なのに、一部キャストがどうも謎です。

机竜之助役と宇津木兵馬役はもちろん変更なしです。
大映版の大菩薩峠は市川雷蔵のカッコ良さを鑑賞する三部作だと思っているので、その点では大満足でした。
盲いてなお冴える音無しの構えから迸る斬撃、その剣筋の様に冷淡な態度は、女性が捨てておけないのも無理はないなと思いました。いやあ、見習いたい。

ラストは嵐の中、今度こそ机竜之助と宇津木兵馬は剣を突き合わせようとするのですが、完結編でもまさかの結末で「ええーっ、またかよ!」となりました。
最後はすっきりと白黒つけて終わらせて欲しかったので、そこは少し残念でしたが、三作とも思った以上におもしろかったです。
大映版以外も、機会があれば観てみたいと思います。