rensaurus

ダークナイト ライジングのrensaurusのレビュー・感想・評価

ダークナイト ライジング(2012年製作の映画)
2.7
前作と比べ、演出や舞台のリアリティラインが下がっているところがしばしば見られ、特有のゾクゾク感、緊迫感が潜めてしまったことがなによりも残念だ。

また、悪役のインパクトの弱さ、すっとこどっこい感、動機の見せ方の下手さ、手段ややり方の無能感、悠長っぷり等々、悪役の魅力が前作に劣るどころか目に余るほどひどいのでカタルシスが全く生まれないし、惹き込まれもしない。

投資で成り上がった上位1%が全体の50%の富を占めるアメリカで、富は分配させるべきで、力あるものは弱いものに還元するのが正義という思想は悪役の思想としてそれなりに魅力を展開できるものであるにも関わらず、その思想を反映するような行動がほぼ見られない。ノーラン自身がフランス革命を参考にしたと言っているように、市民による暴動、圧政による腐敗など、左の思想に伴って多く現れてしまう暴挙をもっと描いて欲しかった。

ベインはミランダへの愛情を元に計画を実行し、ミランダは父の望みを叶えるために計画を根回しするという、愛情で何でもやっちゃう男と親の夢を継承する子というフォーマットは悪くは無いのだが、前作からのこの設定は脈絡的に冷めてしまった。救えないほど汚れているから核爆弾で街を消したい?実際デント法で犯罪率が下がっているのだから、やり方は汚くてもそれなりの正義を全うして欲しかった。街ごと爆破は冷めてしまう。

ほんで無駄に長い。

『ダークナイト ライジング』という期待感を上げる題名や雰囲気があってのこの内容だったので、期待を裏切られた分評価も辛くなってしまった。
rensaurus

rensaurus