Kientopp552

ダークナイト ライジングのKientopp552のレビュー・感想・評価

ダークナイト ライジング(2012年製作の映画)
3.0
 2005年公開の『バットマン ビギンズ』の作品を以って、共同脚本家も兼ねた監督のChr.ノーランは、それまでの、バットマン・シリーズの、ポップアート的ではあるが、コミックを出自とするストーリーの幼稚性を一気に抜け出し、大人の鑑賞に堪えるアクション映画として、バットマンというヒーローをリバースさせた。

 その、言わば、現実化路線は、Chr.ノーラン監督三部作の第二弾(2008年作)にも、もちろん引き継がれるが、ここでは、レジェンドのために自らは汚名を着ることで、バットマンは、暗黒の騎士The Dark Knightダーク・ナイトに身をやつすことになる。

 こうして、三部作の第三弾たる本作(2012年作)で、ダーク・ナイトは、再びライジング、即ち、立ち上がるのである。そこには、自己規律と自己鍛錬が必要なのであり、本作は、その意味で、第一弾とそのテーストが似ている。

 しかし、肝心の悪役Supervillainスーパー・ヴィランたるBaneは、名だたる俳優T.ハーディによって演じられているものの、悪玉ジョーカーが善玉バットマンをその役作りで乗っ取った前作が、その、悪の深淵を見事に形象化した俳優H.レジャーの名演により、恐らくバットマン・シリーズの金字塔を飾るものであったところから、致し方はないとしても、本作でのBaneの悪役振りは、やはり物足りなく思えたのは、筆者だけではないであろう。

 とは言え、本作においては、Chr.ノーラン監督の映画芸術への、映像上でのこだわりもあり、IMAXフォーマットで撮影された部分が、前作の40分に比して、今回は70分にも増えている。ネガフィルムで比較すると、IMAXフォーマットでは、それは70㎜に当たり、普通の35㎜のフィルムに対して、約八倍の容量があるのであり、本作は、この意味でも、是非映画館に赴いて、大画面で楽しみたい作品であることには間違いない。
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