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パットン大戦車軍団のすずすのネタバレレビュー・内容・結末

パットン大戦車軍団(1970年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

欧州戦線の末期、アメリカ軍が連合軍に本格的に加担し、ドイツを敗戦に追い詰めていく様を描く、戦争映画の傑作。戦争が好きすぎた天才将軍、その愚かだが自由な生き様に刮目せよ!

アカデミー賞7部門受賞で、監督は『フレンチ・コネクション』の名匠ジョン・シュレシンジャ―、音楽はジェリー・ゴールドスミス、そして何と云っても、フランシス・コッポラの共同脚本と当時の最高スタッフによる名作。

製作費1200万ドル、6ヶ国71ヶ所撮影(IMDB、Wiki調べ)は当時は破格の製作費。チュニジアやシチリアから北上する際の戦闘など、迫力満点の戦車戦が展開されますが、物語としては【戦争オタク】の浮き沈み人生です。

アメリカ軍の将軍パットンは、戦争を古代史から研究する根っからの軍人気質。戦術の分析に関しては右に出るものがいないが、上官の意見すら、全く聞きいれない頑固者だった。第二次大戦の北アフリカ戦線、彼の戦車隊はドイツを一蹴、シチリアに遠征すると、連合軍の作戦を無視して暴走、しかし、またもや武勲を上げる。しかし、最前線で怖気づいた若い兵士を殴りつけたばかりに、軍法会議にかけられる。連合軍を無視する彼の戦法に、アイゼンハワーも手を焼き、終戦が近づくと、徐々に彼は戦場から遠ざけられてしまう。

「戦争肯定派の映画」として嫌悪される方もいるでしょうが、戦争が何たるかを軍部の上層~現場トップの視点で描く物語は、映画としてレアで価値が高い。「事件は現場で起きている」ならぬ「戦争は現場で起きているだけでなく、参謀本部でこそ起きている」のだ。

また孤高の天才の伝記として、コッポラは『タッカー』を作っており、基本構造は合致している。原題の『Patton』を、日本で『パットン大戦車軍団』としたがために、内容がねじ曲がって伝わりがちなのが残念なことろ。

2.35フレームのワイドスクリーンに映し出される、迫力満点で、美しい戦場の数々。階級章などの装備品のリアルな造り、20世紀フォックス社が社運を賭けた大作は、今も輝きを失っていない。
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