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トンマッコルへようこそのMKのレビュー・感想・評価

トンマッコルへようこそ(2005年製作の映画)
4.5
宝くじの不時着…がきっかけという何ともよく分からない動機で再鑑賞…めっちゃ泣けて仕方なかった。

朝鮮半島の未開の地にでもあるらしいトンマッコル、子どもような純粋な村という名前。日本でいったらペンギン村ぐらいピースフルな村。

朝鮮戦争の最中にあってそんなトンマッコルに迷い込んだ兵士たち。

飛行機で不時着した連合国兵、民間人を巻き込んだ作戦に良心が破綻した南朝鮮の脱走兵と隊をはぐれた衛生兵、負傷兵を置き去りにもできず隊を壊滅させてしまった北朝鮮兵…部隊の呼称は作品より。

銃声を聞いてもなんのことかわからないようなトンマッコルの住民たちにただの訪問者として扱われる兵士たちが、そのうちに戦うことのきっかけ、意味から解放されて、交流を深めるのだが…

美しい映像と近代的価値観から解放されているトンマッコルの村人たちには本当に癒される。

自国の関与もあるため、不勉強かつ一時の感傷で語れるようなものではないと自覚しつつ、やはり先進国が無節操に引いたであろう東西の線にはどうにも合点がいかない。

そこに文化や国民性、はたまた言語の違いがあったのかしら?
この映画を観ている限り、外国語は英語だけだったと思うけど。
心優しいスミス大尉はさておき、平穏なトンマッコルを脅かす連合国に立ち向かう南北連合軍。

共産圏の国々の関与に言及しないあたりは別の配慮があるのかもしれないけど、やはり南北に国を分かつ理由はよくわからなかった。

他国への軍事物資の支援て本当によくわからない。
戦いを否定しつつも戦いの道具を送るだなんて、昨今の悲しい出来事然り、世の中の理不尽さを具現化しているようで本当に切ない。
いつだって苦しむのはそんな業突張りな国々に遠隔操作された遠い海の向こうの国ばかりなのにな…

『あれを見て』
『皆が笑ってる、これが人生だよね』

『ところで』
『僕たちも連合軍なんですか?』
『南北連合軍じゃありませんか?』
『そうですよね?』
『その通りだ』

『ここじゃなくて』
『別の場所で出会ってたら』
『楽しかっただろうな』

当事者たる国の作品、メッセージとして心に留めたい。
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