えす

ゴダールのマリアのえすのレビュー・感想・評価

ゴダールのマリア(1984年製作の映画)
4.2
『こんにちは、マリア』が最高。意外にも端的なメタファーに溢れていて驚いた。中でも分娩を思わせる除雪車が無機的で異質な感触。ゴダールの撮る女優は皆美しいけど、ミリアム・ルーセルの被写体としての強度は圧倒的じゃないか。彼女がフレームの外へ向けるその眼差しだけで映画になる。音響の暴力性と、自然光で捉えた静謐で神々しいイメージが連鎖する不協和にひれ伏すしかない。真紅の唇に縁取られた口内の暗闇が、産道へと繋がる様なラストの接写まで絶品。
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