スギノイチ

喧嘩犬のスギノイチのレビュー・感想・評価

喧嘩犬(1964年製作の映画)
3.5
”ハンサム”という形容は田宮二郎のためにある。
前作『宿無し犬』では名無し同然だった成田三樹夫も、主要人物として別役で復活。
相棒の天知茂は欠場で、代わりに山下洵一郎が準相棒役で出ているがイマイチ邪魔くさく、むしろ敵役の成田三樹夫との憎しみ合いのほうが濃厚だ。
実はこの2人同い年、しかも当時29歳!

大映のプログラムピクチャーは他社に比べて話が繋がっていることが多く、これもそうである。
前作ラストで明らかに死刑相当の数を殺っていたが、なぜか短期で出所。
(設定に限界を感じたのか、本作から不殺キャラとなる)
あれほど入れ込んでいた江波杏子の存在を忘却しているのが解せないが、新ヒロイン・浜田ゆう子とのロマンスは中々の切なさ。
何より、夫を殺された坂本スミ子の待ちぼうけに泣かされる。

軟派を気取っていても、刑務所内でタバコ1本を分けてくれただけの男のためにマジになれる田宮次郎。
成田三樹夫を倒した時の逆さ撃ちに痺れる。
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