【無意識のアルチザン=行定勲論】
行定勲のデビュー作。すでにこの頃から作家性を感じさせる。若者達のモラトリアム期間=青春模様をダラダラ毒々しく描いている。この監督の終生のテーマと言える。
主演の麻生久美子がまあまあ可愛い。内容的には山下敦弘や今泉力哉以上に空疎かつ薄っぺらいもの。まあ、この監督の処女作だし仕方ないとしても…。凡作。
岩井俊二の場合、訳の分からないことにチャレンジする貪欲さがあるのだが、行定勲の場合はむしろ伝統的で古臭い邦画のイメージがある。両者の違いがデビュー作でくっきりと出ている。
個人的にこの監督が敬愛する成瀬巳喜男的なスタジオシステムを導入したりと、結構独創的な画作りをするので意外と好みだったりする。
世間では圧倒的に岩井俊二の方が人気あるんだけどね。私の場合は逆で。(笑)