むっしゅたいやき

トスカの接吻のむっしゅたいやきのレビュー・感想・評価

トスカの接吻(1984年製作の映画)
3.5
鑑賞記録。

監督はスイスの名匠にして、ファスビンダーの盟友、ダニエル・シュミット。
イタリア、ミラノにオペラ王・ヴェルディが建てた、音楽家の為の高齢者施設「カーザ・ヴェルディ」。
本作は其処に住まう人々を題材に採った、ドキュメンタリー作品である。

本作は、彼の施設に暮らす人々の幸福な暮らしを描く。
其のコミュニティは、音楽に彩られており、人々は幸せそうに唄い弾き、過去の栄光を誇りつつ生き、監督のインタビューに於いても「如何に施設で幸福か」「彼等彼女等は、如何に音楽を愛し、栄光を掴んで来たか」に比重を置く。

この為、捻くれた私には「この様な幸福だけでも有るまいに」、或いは「施設の広告の様だ」と云った感想を齎す。

「老いても趣味に、仲間と充実した日々を送る人々」と云った制作意図を感じるが、想いに反し、過去に囚われ、籠の中に生きる人々の姿をたただ捉えただけの様に見え、少々残念な作品である。
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