塩湖

トスカの接吻の塩湖のレビュー・感想・評価

トスカの接吻(1984年製作の映画)
3.5
館のあちこちで年老いた人々が歌ったり楽器を弾いたりして独自のときを創りあげ浸っているさまは『今宵かぎりは…』の変奏のよう。彼らが送る余生というリアルと、かつての輝かしい過去を"過ごし直す"ことでうまれた虚構とがごちゃまぜになったものが人生として力強く現出している。曖昧な概念としての「時間」の存在感が印象に残る。しかし最後、それまで映されてきた人々を壇上にあげ拍手を浴びせる演出がほとんど唐突になされる。カメラの前にたたずむ限り人は常に芝居をうっているのだ、ということをこれが念押ししているようだった。シュミットの映画は方法がなんであれやはりどこか魔法がかってて好き。
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