木野エルゴ

酔いどれ幽霊の木野エルゴのレビュー・感想・評価

酔いどれ幽霊(1958年製作の映画)
2.6
三沢三平は高級化粧品メーカーの営業マン。善人だがここぞという時に弱く度胸もない。出世の道は遠のくばかり。しかも無類の酒好きで常に金が無い。下宿先の部屋代も払えず、さらに下宿先の主人が経営する酒屋の商品を持ち出す始末。とうとう立ち退きを迫られた三平。かねてから三平に好意を持っていた下宿先の主人の娘である新子が引き止めるも、酒を飲まなければ何もできない三平に愛想を尽かして帰ってしまう。

新子から貰った一升瓶を抱えて三平が一夜を過ごした場所は寂れた墓場。墓石に使われていた丸い石を枕に眠っていた三平は、お礼にと枕代わりにしていた墓石に酒を浴びせる。すると石はまるで飲むように酒を吸い取ってしまう。気味悪がって墓場を後にした三平だったが、その日から「注いだ先から酒が消える」という不思議な現象を目の当たりにする。そしてその日の夜、三平が墓場で酒を掛けた墓石の主である大五郎が三平の目の前に現れる。元は片桐というヤクザの舎弟だった大五郎は、ある取引で片桐に裏切られ殺害された。そして取引で得た金と当時付き合っていた女性ユミを片桐に奪われてしまったのだった。

大五郎からユミを片桐の元から救い出すために手を貸して欲しいと頼まれた三平は、承諾する間もなく騒動に巻き込まれることになる。


昔好きだった2代目水戸光圀こと西村晃をなんとなく思い出してYouTubeで動画を漁ってたらこの作品のCMを見つけた。面白そうだと思って動画配信サイトを探してたらAmazon primeにあったので早速視聴。

マイペースな気弱飲兵衛と、サラシに素肌の上から白スーツのジャケットというセクシー(?)ファッションのヤクザ幽霊とのバディムービー。80分でサクッと見られるユルユル特撮コメディ。みんな下の名前でしか呼ばない不思議な世界。ナイトクラブで人を探してもらうときも下の名前。初めましてのその日からいつのまにか三ちゃん・大ちゃん呼びで距離の詰めかたが早い。

そして三ちゃん、前半と後半のキャラが変わりすぎ。最初の度胸の無い設定はどこに行った。三平に反比例してどんどんウジウジしたキャラになる大五郎。300万をゲットした段階でユミの前に姿を見せてその金で逃避行すりゃ良かったんじゃないだろうか。

そんな感じでキャラはブレブレ、終盤はグダグダアクションからのグダグダカーチェイス(しかし何故か崖下に車がダイブするシーンだけはやたら力が入ってた)、ストーリーも行き当たりばったりで名作とは言い難い。

とはいえ、柳沢慎一・西村晃の憎めない呑んだくれコンビの軽妙な掛け合いが面白く最後まで楽しく見られた。


トシ子役の中島そのみ、独特な声の高さとちっちゃくてもパワフルなキャラクターがクリスティン・チェノウェスにそっくりで笑った。日本にもこういう個性的な役者がいたんだねぇ。
木野エルゴ

木野エルゴ