真世紀

花笠若衆の真世紀のレビュー・感想・評価

花笠若衆(1958年製作の映画)
4.0
様々な復刻資料が入ってる『美空ひばりプレミアムブックス』を購入して、美空ひばりさんの主演映画が観たくなったので、積みDVDから観る。

但馬国扇山藩では藩主が病に倒れ、娘の千代姫と双生児に生まれながら双子は不吉と手放された雪姫の存在が急浮上。雪姫の行方を藩主は気にかけ、また何やら企む次席家老一派が本来、家督を継ぐ資格は雪姫と主張し出す。

その雪姫、江戸の侠客江戸屋吉兵衛(大河内傳次郎)のもとで二代目の吉三として育てられていた。冒頭から若衆姿で旗本奴の白鞘組と「ロカビリー剣法」を歌いながらの立ち回り、そこで手を貸した侍(大川橋蔵)こそ千代姫の許嫁だった。出生の秘密から扇山藩のお家騒動に巻き込まれていく吉三。

美空ひばり、千代姫と吉三の二役、かつ途中で吉三、町娘姿になったりと姫と男伊達にとどまらぬ三変化。さらに江戸から旅の道中では侍と結ばれることを夢想して結婚装束姿も披露。目的ある旅の最中にしてはこの夢のシーン、長くておかしい。もちろん歌う場面も多々で、今観ても愉しい。当時のひばりファンにはたまらん作品だったろうなぁ。

あと東映時代劇だけに、祭礼やら川開きでの花火など人の賑わいのあるシーンの多人数のエキストラ動員がされており、コロナ禍の今ではなおのこと再現無理な活気で目を奪い、かつ、ラストでは効果的に切なさを増すのであった。
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