若くして突然逝ってしまうと、残された人間は別れの準備ができない。
見終えたあとしばらく放心状態になるほど揺さぶられた。
AV女優とAV監督の不倫関係とか、庵野秀明がプロデューサーだとか、林由美香のお母さんがラーメンチェーン野方ホープの社長だったとか、刺激的な情報はたくさんあったけど、そんなものはすべて表面的なものに過ぎなかった。
人が亡くなり、母親の慟哭が響き渡り、警察が現場検証する映像を流して良いのだろうかと思った。
でもそれは平野監督も同じだったことがその後にわかる。これは平野監督が前に進むための弔いだった。そしてお母さんも。
先日観た瀬戸内寂聴さんのドキュメンタリーでも、17年密着した監督への愛情から、私が亡くなる場面も撮って良いよ、と言っていたことを思い出した。
原一男監督の「極私的エロス 恋歌1974」然り、私的なドキュメンタリーの威力は本当に凄まじい。
これはひとつの愛のお話。
別れを受け入れるってこうゆうこと。