いろどり

監督失格のいろどりのレビュー・感想・評価

監督失格(2011年製作の映画)
4.0
若くして突然逝ってしまうと、残された人間は別れの準備ができない。

見終えたあとしばらく放心状態になるほど揺さぶられた。    

AV女優とAV監督の不倫関係とか、庵野秀明がプロデューサーだとか、林由美香のお母さんがラーメンチェーン野方ホープの社長だったとか、刺激的な情報はたくさんあったけど、そんなものはすべて表面的なものに過ぎなかった。

人が亡くなり、母親の慟哭が響き渡り、警察が現場検証する映像を流して良いのだろうかと思った。

でもそれは平野監督も同じだったことがその後にわかる。これは平野監督が前に進むための弔いだった。そしてお母さんも。

先日観た瀬戸内寂聴さんのドキュメンタリーでも、17年密着した監督への愛情から、私が亡くなる場面も撮って良いよ、と言っていたことを思い出した。

原一男監督の「極私的エロス 恋歌1974」然り、私的なドキュメンタリーの威力は本当に凄まじい。

これはひとつの愛のお話。
 
別れを受け入れるってこうゆうこと。
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