にんにんにん

監督失格のにんにんにんのレビュー・感想・評価

監督失格(2011年製作の映画)
4.2
林由美香が命を燃やし、その前にただ立ち尽くしていた監督の、言葉が出ないほど壮絶なドキュメンタリー。
でも、ひょっとして人生ってこういうものなのかもしれない、とも思った。
未来への不安や孤独、人に言えないことなんかを山ほど抱えながら、それでも時々訪れるささやかな幸せがあったり、好奇心を満たしたり、ちょっと笑えることもあったりしながら。
人を愛して人と別れて、あっけなく死んでいくんだけど、自分が思っていた以上に自分が人に必要とされていたことを、死んではじめて証明されたりもする。

監督は作品を作る前提でカメラを構えるものだし、だからこそ確かにちょっと作為的なものもあるかもしれないけど、林由美香という女優が生き、死んだこと、いびつな形で彼女を愛した人が彼女を撮ったこと、それはすべて、すべてフィクションではない。