ブラックユーモアホフマン

エドワード・サイード OUT OF PLACEのブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

3.6
パレスチナ系アメリカ人の研究者・批評家であるエドワード・サイード。
その自伝からタイトルが取られているがその本の邦題「遠い場所の記憶」というのがまさにこの映画においてもキーワード。なのは、当たり前か。

パレスチナにルーツを持つサイード自身の人生におけるアイデンティティをめぐる想いを辿りながら、制作当時のパレスチナに住む人々の生の声を聞く。それはアメリカとパレスチナの距離についてであると同時に、佐藤さんらこの映画を作る人たちの日本とパレスチナの距離についてでもあったと思う。

コロンビア大学でのピアノの演奏をバックにパレスチナにあるサイードの墓に戻るラストシーンにもそれは象徴されていた。

ナレーションの声、聞いたことあるな、誰だっけな、と思ったけど宝亀克寿さんだ。

【一番好きなシーン】
・アメリカからパレスチナに戻るラストシーンが対をなす、サイードの墓の映像からそれを見るニューヨークの家族の映像に飛ぶオープニングも見事。時間と場所を一気に切り替え繋げる編集の妙。
・サイードの別荘の屋根裏に入るためドラム缶とドアの端っこを足場にする青年の足もとを撮ったカット。危ねえ!