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ちぎれた愛の殺人のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

ちぎれた愛の殺人(1993年製作の映画)
4.0
女子大生・岡川文絵が校舎の屋上から飛び降り自殺した。警視庁の刑事・水橋陽子(横山めぐみ)は、美術史の助教授で剣道場で稽古をつけていた村木哲郎(佐野史朗)に会う。今回は完全な自殺だったが、五年前に起きたある女子大生の失踪事件に彼が関係しているのではと陽子は疑っていた。その女子大生は陽子の親友だった。陽子は所轄の刑事・武藤(山田辰夫)とコンビを組んで聞き込みを行い、村木の妻・名美が五年前からノイローゼで、村木の実家の出雲で療養中だということを知る。だが村木の自宅で彼以外の人影を感じた陽子は張り込みを始め、ある夜村木邸から走り出た一台の車を追う。車に乗っていた謎の女は妖し気なレズバーに入るが、そこで消えてしまった。翌朝、再び赤いフェアレディZを目撃した陽子は、羽田空港から出雲へ向かった謎の女を追って自分も出雲へ。出雲では、またバラバラ殺人事件が起こっていた。陽子は海岸で女を発見し追いかけるが、そこに現れたのは村木だった。陽子は村木に得体の知れなさを感じる一方で、徐々に惹かれていた。果たしてバラバラ殺人事件と失踪事件の犯人は、誰なのか?
「天使のはらわた赤い淫画」などで石井隆と名コンビを組んだ池田敏春監督が、サイコサスペンスホラーに挑んだ意欲作。
大学時代の恩師で容疑者である村木助教授と大学時代の恩師である村木助教授に尊敬と密かな想いを抱く女刑事水橋陽子の想いがすれ違う報われない関係、浮気した罪滅ぼしを妻に続ける村木助教授の一途な歪んだ愛など、石井隆監督作に共通するロマンチックな要素があり、クライマックスで明らかになるバラバラ殺人の犯人の正体と動機は縁結びの出雲の神様に対する信仰も絡んでいて、凛々しい刑事の部分と複雑な女心を演じた横山めぐみの演技と紳士な助教授の中にある歪んだ愛を演じた佐野史朗の演技と余貴美子の怪演が印象的な日本製サイコホラーサスペンスの佳作。
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