湯っ子

誘惑のアフロディーテの湯っ子のレビュー・感想・評価

誘惑のアフロディーテ(1995年製作の映画)
3.8
たぶん、当時レンタルビデオで観てるんだけど、全く内容覚えてなかった。

この作品はミラ・ソルヴィーノの魅力を堪能するためにある。と、私は思う。
当時、ミラ・ソルヴィーノといえばまさに彗星のようにあらわれたスターで、ハーヴァード卒の才媛で、時代の寵児タランティーノの彼女で、だけどインタビューでは「学生の時は『気持ち悪いミラ』って呼ばれてたのよ」なんてことも話しちゃう。当時の私にとって、最高にカッコよくてかわいくて素敵な女優さんだった。今回、四半世紀ぶりにこの映画を再鑑賞して、やはりこの頃の彼女が最高に輝いていたのがわかる。
私はなぜか、一見アホっぽく見えるし、勉強とかはできないんだけど、心根は優しくてふと真理を突くみたいな女キャラが大好きで、まさにこの作品のミラはそれを体現している。
残念ながら、この後は女優としてのキャリアはパッとしないのは、彼女もワインスタインのセクハラ被害者だかららしい。その上この作品の監督がウディ・アレン。この辺のことを考えると本当に胸糞悪いのだが、ミラが結婚・出産を経て、それを維持していることに彼女の知性があらわれている気がするから、やっぱり彼女のことは好きだな。

ギリシャ神話の語り部たちがたびたび出現する演出も面白くて、物語も現代のおとぎ話の趣きがある。表向きはハッピーで、めでたしめでたしなんだけど、この映画の撮影の裏で起こっていたらしいセクハラと絡めてみると、不都合な真実は明らかにしないことによってことなきを得る、ということがハッピーエンドを形作っているのが皮肉だと思う。

そうは言っても、やっぱりアレン作品は面白いし、作中の彼らのような富裕層インテリでない私にも倦怠期の夫婦の空気は痛いほどわかる。
会話の絡みで女優の魅力を生かすシーンは、やっぱりとても好きだ。でもやっぱり、彼のキスシーンを見るたびにモヤモヤしちゃうのは確か。
湯っ子

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