サスペンスとコメディの要素を織り交ぜながら、テレビをベビーシッターがわりに置き去りにされる子供の孤独、さらにストーカーという社会問題も提起している。テーマがたくさん盛り込まれていることにより、どれも中途半端になってしまっているのが残念。
主役のケーブルガイはジム・キャリーでなければ演じられなかっただろうし、逆にジム・キャリーだから、これほどの複雑な人物像を演じ切れてしまったことにより、コメディにもホラーにも振り切れない煮え切らなさが残るという皮肉な結果になっている。
とはいえ、シリアスに考えるよりは、ジム・キャリーの怪演により笑える場面が多くて、絶妙な顔芸とポージングゆえに何回も声に出して笑ってしまう。
特に好きなのはカラオケ・パーティの場面。爺さん婆さんがノリノリで歌ってダンスするだけでも可笑しいのに、ジェファーソン・エアプレーンの「Somebody to Love」をジム・キャリーが熱唱する場面は最高にテンション上がる。
今やコロナ禍が長く続いて、集まってその場のノリで踊ったり歌ったりという機会が全然なくて、そういえばこんな楽しい時代もあったな~などと、遠い昔のことみたいに思えて不思議な感じ。
端役だけど、オーウェン・ウィルソンはやはり存在感あるのを再確認。
気楽に観て少し怖くてホロリとさせる場面もありつつ結局笑える、ベン・スティラーらしい作品。