デニロ

赤い手のグッピーのデニロのネタバレレビュー・内容・結末

赤い手のグッピー(1944年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

何を言いたいのかよく分からぬ話だった。

グッピー家は、106歳の長老を頂点にした大家族。お互いをニックネームで呼んだり、親族内での結婚を繰り返したり。その家には年頃の娘があり、長老の息子で今の家長は、生き別れた妻の息子が出世したと聞き、孫娘の婿にどうだろう、と呼び寄せるところから始まります。その娘のことが好きなグッピー一族の若者は、遠来の花婿候補をなかなか家に着かないように計略を立てる。そんなたいしたもんじゃありませんけれど。

ようやくその家に着いた若者が見たのは106歳の長老が卓にぶっ倒れている姿。あたふたと逃げ出すと、次に現れたのは計略を企てた若者。長老のポケットから大金を盗み出しすたこらと逃げ出す途中その家の主婦に見つかり殺してしまう。

劇場のチラシには、/財産を守るため血族間で結婚を繰り返すグッピー一族。食堂の主人はパリに住む息子を呼び寄せるが、そこで盗難、殺人事件が発生し…。互いをあだ名で呼び合う片田舎の変人一族で起こる犯罪とその顛末をシュールかつ軽いホラー風味で描く群像劇。一族のハグレ者"赤い手"が事件の糸を解きほぐす!/と書かれているが、実にのんびりしていてシュールというより人を喰ったような動きをさせています。

で、一体どうなるのかというと、グッピー家には長老しか知らぬ財産がありそれはどこかに隠されていて、というサスペンスらしきものに物語は移り変わる。へ、一体あの女性は何で殺されちまったんだと訝しく思うところに、瓢箪から駒、の如く年頃の娘が呼び寄せた若者を好きになってしまう。長老は、そのしあわせそうなふたりを見ながら視線を財宝の在りかに向けて、そしてそれはカメラの視線になって観客に示すのです。

いや、その日は「ジョン王」を観劇の予定だったのだが、この5月から通称をコロナ2019と変えるらしい感染症に役者が罹ったということで当日中止が決定され、それを劇場前で知らされたわたしは、どーしようと近くの映画館の上映時間を調べて、仕方がないと本作に飛び込んでしまったのでした。

一体全体何の話だったんでしょうか。踏んだり蹴ったり。

1942年製作。原作脚本ピエール・ヴェリ。監督ジャック・ベッケル。

シネマヴェーラ渋谷 ヌーヴェル・ヴァーグ前夜 にて
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