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赤い手のグッピーの一人旅のレビュー・感想・評価

赤い手のグッピー(1944年製作の映画)
3.0
ジャック・ベッケル監督作。

ピエール・ヴェリの1937年の小説を名匠ジャック・ベッケルが映画化したサスペンスドラマで、とある一族で起こった殺人事件を描きます。

パリから遠く離れた片田舎の村で、財産を守るため代々近親結婚を繰り返してきたグッピー一族を描く物語です。一族の女性が何者かによって殺害される事件が起きたことを受けて、一族の面々が事件が大事にならないうちに犯人を突き止めようとするお話です。パリから里帰りした一族の青年が一応の主人公で、一族の風習に染まっていない都会派な青年も辺鄙な村で起きた殺人騒動に否応なく巻き込まれていきます。

閉塞的な村で起きた殺人事件を巡るサスペンスドラマですが、近親婚によって連綿と財産を守り続けてきた一族の結束と未来への希望を、青年といとこの心優しい村娘との清らかな恋慕の成就を軸に描き出した異色のドラマで、紅一点の村娘に扮したブランシェット・ブリュノワの清廉と良心が欲深き一族たちと対比を成しています。
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