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カラビニエのHKのレビュー・感想・評価

カラビニエ(1963年製作の映画)
3.4
ゴダールが32歳のときの長編5作目。
タイトルは昔から知っていましたがCSで見つけて初鑑賞。
原題“Les Carabiniers”(カービン銃を持った兵士たち)

野原にポツンと建つ掘っ立て小屋に住む4人の家族(男2人、女2人)のもとに、いきなり銃を持った兵士カラビニエたちが現れ、家族の男たち2人は徴兵されます。
初めは抵抗していた家族も兵士になって戦争にいけば大金持ちになれると聞いて気が変わります。女たちも早く行ってこいと手の平返し。

ゆるくてシュールな反戦映画と思って油断していると、戦争シーンは実際の記録フィルムになったり、いきなり本物の死体の映像がインサートされたりと、ときおりギョっとさせられます。
映画も進行するにつれて、血こそ流れませんが銃殺による処刑シーンが多くなってきます。

ところでこの4人家族(名前はクレオパトラ、ユリシーズ、ミケランジェロ、ヴィーナス)、父母と兄妹にしては見た目年齢が皆けっこう近いため、関係がよくわからないまま観ていると、ラストで男2人は兄弟と言われるので実は母親と3人の子供だったのか?
そんなこんなを含め、多分に学生の自主制作映画のノリが感じられます。

余談ですが、TV『ウルトラセブン』の実相寺昭雄の監督回「第四惑星の悪夢」は同じくゴダールの『アルファビル』の影響を受けていると聞きましたが、本作の影響もあるような。

いちいち女性のスカートをめくるのは当時の男の本能でしょうか。
最近はスカートめくりって聞きませんよね。

(filmarksさん、ジャケ写を鮮明にしていただきありがとうございます)
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