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ディファイアンスのRyuのレビュー・感想・評価

ディファイアンス(2008年製作の映画)
3.8
1941年、ドイツ軍がベラルーシを占拠し、ユダヤ人狩りが始まる。両親を殺されたユダヤ人のビエルスキ兄弟はリピクザンスカの森に逃げ込む。そこには既に多数のユダヤ人が隠れており、キャンプを構えていた。キャンプはさらに人数を増やして武装し、ビエルスキ兄弟 長兄のトゥビアの指揮の下、“ビエルスキ・パルチザン”を名乗るようになる。

ナチス・ドイツ占領下のポーランドでのビエルスキ兄弟によるユダヤ人救出の実話に基づいた作品。
第二次世界大戦でのユダヤ人と言えば、ホロコーストの虐殺など、一方的に殺られる というイメージが強いです。しかしこうやって抵抗したユダヤ人たちもいたんですね。
最初は少数だった軍団もどんどん人数が増えてきて、意見の食い違いなどの対立も出だす。トゥビアの意見もズシュの意見も、どっちも分かります。でも決断しなきゃいけない。やっぱりコミュニティって難しいですね。それがこんな極限状態だったら尚更です。
実話に基づいているので、基本的には実話ものの深みがあるんですが、銃撃戦が多かったり、最後の戦車のシーンだったり、エンタメ寄りの演出が多く成されていると思いました。特に戦車のシーンは原作者も最初は戸惑いを覚えたみたいです。兄弟の序列も違ったり、色々脚色があるみたいで、観やすくはなっていたかもしれませんが、重厚さは減ってしまっていたように感じました。
極限状態での大人数での共同体の大変さも痛いほど伝わってきました。エンタメ寄りの演出により、視覚的な見応えも十分にあり、中々骨太な作品だったと思います。
ポーランド国内では、ビエルスキ兄弟を英雄視する見方もあれば、略奪を繰り返した山賊的な見方もあるそうです。でも、最終的に約1200人も生き残り、その子孫は数万人に及ぶらしく、そう考えるとビエルスキ兄弟(特に長兄 トゥビア)の功績は称えられるものがあると思います。
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