よーだ育休中

トランスフォーマー/ダークサイド・ムーンのよーだ育休中のレビュー・感想・評価

3.0
米ソ宇宙開発競争の裏にはトランスフォーマーの影があった。先の大戦の折、月の裏側に墜落していた先代オートボットの総司令官センチネル・プライムが地球で目覚めるが、彼は惑星サイバトロンの復興を成し遂げるべくディセプティコンの首領メガトロンと秘密裏に結託していたのだった。


◆ You didn't betray me.

Steven SpielbergとMichael Bayがタッグを組んだメガヒットSFアクションシリーズの三作目である今作は「人類史上初の月面着陸という輝かしい功績の裏側で、政府は宇宙人とのコンタクトを隠蔽しているのでは無いか」という《アポロ計画陰謀論》をベースにしたストーリーが組まれていました。

米ソ宇宙開発競争の裏側でディセプティコンが暗躍していたという設定は面白い。スキャンしたものに擬態することが出来る地球外金属生命体である『トランスフォーマー』と『アポロ計画陰謀論』は親和性が高いと思います。

1969年のアポロ計画は、一作目で《氷の巨人(メガトロン)》が発見された1897年以降であるため、人類はこの時点でトランスフォーマーの存在を知覚していたはずです。故に人類側の連携不足感は否めません。シリーズ作品同士の「世界観の繋がり」が少し気になり始めた第三作目となってしまいました。

世界観といえば、今作では突然ヒロインが交代。前作までのヒロインMikaelaを演じたMegan Foxが降板し、新たなヒロインCarly役にRosie Huntington-Whiteleyが起用されていました。Mikaelaはヒロインとして良いキャラクターだったと思うので、唐突なヒロイン交代は残念。


◆ You betrayed yourself.

サウンドウェーブによる衛星軌道上からチート級の諜報活動を行う情報戦。ショックウェーブが高層ビルを破壊していくド派手なアクション。シリーズ屈指の圧倒的なスケールで描かれるシカゴでの最終決戦のシークエンス。スケールアップしたアクションに加えて、今作は従来のシリーズ作品よりも《戦争映画》のエッセンスを感じました。

ディセプティコンが人間のスパイ(こいつらがみんなクセ強)を飼い慣らしている描写には裏社会の闇めいたものを感じ、シリーズ作品の中で一番ダークな雰囲気の作品であったと感じます。

そんな中、今作でもやっぱり良い味を出してくれているのが元セクターセブンのSimmons(john Turturro)でした。リッチになった有識者はダークな雰囲気の濃くなった今作にコミカルさをプラスしてくれるだけでなく、恋人と喧嘩したSam(Shia LaBeouf)励ますような言葉をかけています。彼が降板しなくて本当によかった。


ラストは現職プライムのオプティマスと、先代プライムのセンチネル。そしてディセプティコンの首領メガトロンという作品内屈指の実力者による三つ巴の戦いに。過去作でも思ったのですが、このシリーズって作品自体の尺は長いのにラスボス戦がすごくあっさりしています。もっとプロレスが見たい!