ガブXスカイウォーカー

火の鳥2772 愛のコスモゾーンのガブXスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

4.0
冒頭は、火の鳥が雲の中を飛ぶアニメと実写背景の合成に始まり、主人公ゴドーが幼いころより女性型育児ロボット、オルガに育てられていく過程を効果音なし、音楽のみで延々描写するなど、実験的な演出で目を引く。
またフルアニメーションなので、現在とはまた違ったなめらかな動きを堪能できる。とくに火の鳥の作画は秀逸である(人物の輪郭線が微妙に揺れている欠点もあるけど)。

物語も青年と女性ロボットのドラマを軸に宇宙を駆け巡る波乱万丈なアドベンチャーは実に楽しい。後半の、『エイリアン』、『スタートレック』、『スター・ウォーズ』などを多分に意識したアクションも見応えあり(当時は世界的SFブームだったのだ)。

ラストもすごい。地球が寿命で滅亡していく中、ゴドーは火の鳥に自らの命を捧げることにより地球と生き物たちの再生を願う。火の鳥は聞き入れ、地球の滅亡は止まり復活へと向かう。そして命の源である海では、女性型育児ロボット、オルガは人間となり、赤ん坊に戻ったゴドーを抱きしめる。
おおっハードSFだ!(『伝説巨神イデオン 発動編』の数年先を行っているぜ!)

個人的には懐かしさ補正でひじょうに楽しめた。いささか褒め過ぎたが、期待して観ると絶対にガッカリすることだろう。1980年の作品とは言え、当時でも今作の脚本、演出、作画、音楽などのセンスは古臭い。とくに動物キャラたちのギャグは空回りしている。おそらく手塚治虫らスタッフの昔観た映画、アニメなどへのオマージュであろう。でも、ぜひ今のアニメに慣れた人たちが観たらどんな感想を抱くのか聞いてみたくなる野心作だ。超オマケして4.0。

《キャスト》
ゴドー:塩沢兼人
オルガ:三輪勝恵
サルタ:熊倉一雄
ブラック・ジャック:伊武雅之
ロック:池田秀一
レナ:藤田淑子
バン(ヒゲオヤジ):大塚周夫
ピンチョ:高橋和枝
クラック:大竹宏
イート卿:久松保夫
ブーン:小林修
ボルカン森山周一郎
火の鳥:竹下景子
田中崇(銀河万丈) 中谷ゆみ 戸谷公次 間島里美 佐藤正治 中野聖子

声優陣はベテラン、中堅、新人あわせて実力派揃いでみんな声も演技も実に素晴らしい(いや、伊武雅刀と池田秀一は微妙なところもあったけど)。火の鳥役の竹下景子もヘタなりにいい味を出している。