櫻イミト

巨人ゴーレムの櫻イミトのレビュー・感想・評価

巨人ゴーレム(1935年製作の映画)
3.5
デュヴィヴィエ監督が「ゴルゴダの丘」(1935)と同年にチェコで制作した伝奇映画。日本の「大魔神」(1966)の元ネタは、パウル・ヴェゲナー版(1920)では無く本作。

中世のチェコ・プラハ。ユダヤの民は圧政の下で飢餓に苦しんでいた。最後の希望は教会の一隅にある巨像ゴーレムにかけられていた。予言によれば猛獣の咆哮する時にゴーレムが悪政を倒すと言うのだが。。。

美術はドイツ表現主義、ゴーレムの造詣もカッコよく、クライマックスの大暴れには怪物映画的なカタルシスがあった。しかし中途の人間ドラマが上手く描けていないのが非常に惜しい。デュヴィヴィエ監督も外国スタッフとのコミュニケーションが完璧ではなかったと語っている。

※ジョルジュ・サドゥールの評
プラハでデュヴィヴィエがかなり平凡に演出した「巨人ゴーレム」が、ヴェグナーの古い作品におけるような、その発明者に対して反抗する機会にではなくて、圧迫された民衆を解放する一つの力になったことは、意味深いものがある。

※日本での公開時には「土の人形が動き出す怪奇映画」と宣伝しゴーレムのお面を街で配布し大ヒットを呼んだ。

※「フランケンシュタインの花嫁」が同年の作品
櫻イミト

櫻イミト