すかちん

生命の冠のすかちんのレビュー・感想・評価

生命の冠(1936年製作の映画)
2.5
<原節子 生誕100年>特集での上映だが、原節子はほんの脇役で見どころは少ない。

南樺太(サハリン)の蟹缶工場が舞台(ロケ地はクナシリ島)のプロレタリア映画。とはいえ労働者側の視点からではなく、経営者一家(理想主義の兄と現実主義の弟)の、製造業の良心をめぐる苦悩を描く。冒頭、荒れ狂う極寒の海上で波に呑まれようとする蟹漁船の姿に既視感があったが、それは同じ内田吐夢監督の『飢餓海峡』であったかと思い当たる。『飢餓海峡』はまぎれのない傑作だが、北方の海と船、末端労働者のルサンチマン、といった同じモチーフは、ここではまだ強靭なニヒリズムにまでは昇華していない。
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