湯っ子

夢二の湯っ子のレビュー・感想・評価

夢二(1991年製作の映画)
4.0
美しいものだけでしつらえたこの世界に、ただひたひたと身を浸せばよいのだ。妖しいちからにからめとられ、両目を大きく開けたまま、夢をみよう。

耽美で淫靡で猥雑で。幽玄夢幻の映像世界。
小道具ひとつひとつにまでも、こだわりが尽くされている。ロケ地の風景や建物も、全てが異空間に彩られる。

色気と狂気と滑稽さの入り混じった夢二は、沢田研二以外に考えられない。才能があって情けない、そんな男はずるい。でもかわいい。気まぐれにひどいことをする時もあるけれど。
女優たちはみな妖艶で美しい。特に、毬谷友子の妖気が凄まじく、魂を持っていかれた。
広田レオナがぬか漬けにされるシーンはさすがに気の毒。「ツィゴイネルワイゼン」でも、砂浜にすぽーんと人が吸い込まれるシーンがあって、あれはどうやって撮ってるのか、生き埋めになったりしてないかとハラハラしたことを思い出した。

金沢は母のふるさとの近く。また行ってみたくなる。
湯っ子

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