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夢二のSEULLECINEMAのレビュー・感想・評価

夢二(1991年製作の映画)
5.0
ほとんど夢幻とまで言えるほどの異常な映像体験。極端な美意識が画面の隅々に至るまで張り巡らされていて、あまりにも隙がない。ひとつのショットのなかに運動と静止が共存しているため、その差異が人間や自然の運動の異常な美しさを際立たせる。清順的なトラヴェリング・ショットはやはり健在で、画面を横滑りする官能的な味わいはそれだけで表現となり得るほどに美しい。
後半では沢田研二、原田芳雄、坂東玉三郎、広田レオナが4人で横並びに座るショットがあるのだけれど、人間存在そのものの色気と迫力が画面に充満していて、この世のものとは思えない何かがフィルムに定着していた。

…とはいうものの、命に関わるレベルの尿意と格闘しながら観たので、最後の方は「もうそんなんええから!はよ話片付けて終わってくれ!」という感情に打ち勝つことができなかった。やはり鈴木清順は万全のコンディションで挑むべき…
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