クリ

一番美しくのクリのレビュー・感想・評価

一番美しく(1944年製作の映画)
3.7
ほとんどプロパガンダに近い作品ながら、軍需工場で働く女性たちの喜怒哀楽を美しく描いたクロサワ初期の佳作。
しかし、ノルマを男性の半分と言われれば、せめて3分の2に引き上げてくださいと抗議したり、病で帰郷しろ言われれば、それだけは勘弁をと、お国のために心身を削ったり、この作品の女性たちは、いわゆる女性らしさよりも男に近い逞しさが溌剌としている、ある意味クロサワらしい作品でもある。
リアルではあるが、過剰ではないかとさえ感じられる女性たちの献身的な言動からは、違和感よりも先に他者のために己を犠牲にする自己犠牲の精神の美しさが感じられるし、思いやりの欠けた今、見るからこそ共感とは違う何かを受け取るが可能ではないだろうか。
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