御朱印帳

一番美しくの御朱印帳のレビュー・感想・評価

一番美しく(1944年製作の映画)
3.3
昭和19年、終戦の前の年、平塚の軍需工場。
一見、戦意高揚、生産増強のプロパガンダ風。
戦中、戦前の記憶を持つ世代がどんどんいなくなる中、当時の日本人の矜持を平塚の軍需工場で働く若き女性たちを通じて描く。
最後の場面で母親が亡くなったと知っても、涙を流しながら仕事に打ち込む渡辺さんの姿に凝縮される。

雪深い田舎の風景が懐かしく、戦中というのは貧しい時代と思いきや、このような大がかりな作品を作っていたということが驚き。また、鼓笛隊での演奏がピタッと決まるのが印象的。

黒澤明はドキュメンタリーとして記録するつもりでリアリティーを追求するために実際に出演者を働かせたり合宿させたりしたそう。時を経て、80年前の日本人を窺い知る貴重な映画になつたように思える。
御朱印帳

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