うにたべたい

大江山酒天童子のうにたべたいのレビュー・感想・評価

大江山酒天童子(1960年製作の映画)
3.7
大映特撮全盛期の一作。
酒天童子の伝説を下敷きにした作品ですが、伝承に沿ったものではなくオリジナルストーリーです。
当時のオールスターキャストで作られた豪華な作品という触れ込みで、そのためか最後までちゃんと見せ場がない不要なキャラクターが多いと感じました。
この辺りは、私自身あまり知らないのでそう感じたということもあると思います。
市川雷蔵や勝新太郎など、往年のスターが多数出演しているので、当時を知る人には懐かしさを感じると思います。

関白・藤原道長の寵愛する渚の前に度々現れる酒天童子の配下の妖怪から逃れるため、道長は渚を源頼光の元へ送る。
頼光の元へ妖怪が現れるようになるが、頼光四天王の筆頭・渡辺綱は茨木童子の片腕を斬ることに成功する。
だが、せっかく奪った腕を奪い返されたことで道長は怒り、頼光に酒天童子討伐を命ずるという展開です。

本作の酒天童子は、鬼ではなく謀反人という設定となっていて、茨木童子など手下の妖怪も妖術を使う人という設定になっています。
酒天童子が大江山で根城を持った経緯や、渚と酒天童子の関係性など説明があり、ストーリー展開がしっかりしていました。
オリジナルストーリーとはいえ頼光や頼光四天王が登場し、酒天童子側も茨木童子が登場します。
茨木童子が渡辺綱に腕を切り落とされる下りなどがあり、酒天童子の伝説を参考にしているんだなとわかるようなシーンも多々あったように思います。
ただ、本作の酒天童子は、鬼ではなく朝廷の謀反人という設定となっていて、茨木童子など手下の妖怪も妖術を使う人という設定になっています。
酒天童子が酒好きというキーとなる設定もなかったため、酒天童子として見ると違うと感じると思います。

特撮としては牛のバケモノと、巨大な蜘蛛が現れますが、できは微妙です。
作り物感が凄く、自分から脚にしがみついて呻き声をあげている武士たちが不憫に感じますね。
序盤話がよくわからなくなりそうになりましたが、途中からおもしろくなりました。
良作ですが、特撮を期待するとちょっとしょぼいと感じるかな。