ポルりん

透明剣士のポルりんのレビュー・感想・評価

透明剣士(1970年製作の映画)
3.8
■ 概要

「座頭市と用心棒」の吉田哲郎が脚本を書き、「東海道お化け道中」の黒田義之が監督した特撮時代劇。


■ あらすじ

『弱虫剣士・夕月三四郎の父が、夜警の途中怪盗団に殺された。
死神にひかれ、遠のく父のそばへ駆けよる三四郎をとめたのは、妖怪しょうけらだった。
その怪奇な姿に似ず親切なしょうけらは「力を貸すから父の仇を討てといい、不思議な効力のある秘薬の製造法を教えてくれた。』


■ 感想


1933年当時。

恐怖と笑いを引き出す為に映画のトリックを用い最も成功した作品・・・そうジェームズ・ホエールの「透明人間」である。


その「透明人間」をヒントにし、かつての大映は「透明人間現る」や「透明天狗」などを製作した。

いずれもホラータッチの演出をちりばめた暗いムードに仕上がっていた。


だが、本作はそれらとは打って変わり、敵討ちをテーマに掲げているにも関わらず、少年少女向けの明るい活劇として描かれている。

妖怪や死神もどこか憎めない好感の持てるキャラクターとなっており、キャスティングも作風にあった横山やすし、西川きよし、岡八郎といった芸人などを起用しており、物語を一層明るく盛り上げる役目を果たしている。


特撮に関しても、「透明人間現る」や「透明天狗」などは恐怖感を煽るものに特化していたが、本作はそれとは真逆の笑いを誘うものに特化されていた。

特に、空中に浮いた丼ぶりからうどんを消すシーンなどは、画期的で秀逸である。


アクション部分もレベルが高い。


基本的に本作は子供向け映画となっているが、「映画 怪物くん(実写版)」や「忍たま乱太郎(実写版)」といった子供騙しをしているだけの有害ゴミとは違い、子ども向けだからこそ、真剣に取り組んでいる姿勢が垣間見える。

キャスト・スタッフともに、かなり好感の持てる作品である。
ポルりん

ポルりん