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インディア・ソングのbennoのレビュー・感想・評価

インディア・ソング(1974年製作の映画)
4.2
監督・脚本がマルグリット・デュラスということで鑑賞。

1937年、インドのカルカッタが舞台…。
フランス大使夫人のアンヌ・マリーは女神のような存在ですが…まるで娼婦のように男たちを虜にします。

ある夜、フランス大使館でパーティが開かれることに…ラホールの元領事が招かれます。噂では、彼は30代で未だ童貞、以前発砲事件を引き起こして左遷された過去があるとのこと…。
彼はアンヌに一目惚れ…しかし彼女はそれを軽く受け流し…挙句、彼は子供のように泣き叫びます…。

一切台詞は排除され、まるで小説を読んでいるかのようなナレーション…全てが映像にリンクするわけではなく、言葉と画の間に想像力が働きます。
言葉の余白が多いのも特徴…デュラスが得意とする声なき声…そこに多くの声が存在します。

また、映像が見事!鏡を使った構図もピッタリ!どこからともなく立ち昇る煙!
登場人物はナレーションにそって動きますが、とても無機質で前衛的…『去年マリエンバートで』を想起します。しかしそこはデュラスならではの耽美さも加わり、ため息が出ます。

忘れてならないのは音楽の素晴らしさ!人物の心情を曲で表現します。

そして、とても美しくて儚いラスト…
デュラスの詩情の世界に酔いしれたい方におススメします。
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