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アフター・アワーズのpikaのレビュー・感想・評価

アフター・アワーズ(1985年製作の映画)
4.0
おぉ!まさかの不条理劇!夢映画か!面白い。
冒頭オフィスで後輩が将来の夢を語っているときに上の空になってる感覚描写とか演出が凝ってて面白い。嫌味なくスピーディーに展開していて見やすい。
『帰りたいのに帰れない』不条理や『ナサリン』の逆バージョンの出会い(主人公側が助けを求めている)と不運の連続などシュルレアリスム要素を引っこ抜いたブニュエルみたいでとても好き。
中盤道路で叫ぶあたりにスコセッシだからキリスト風味も入ってるのかなとか一見無関係なエピソードに繋がりを意識させるアイテムが出てきて幻想か妄想かみたいな深読みをできそうな部分があるけどラストできれいに円環構造としてまとめているところを見てもシンプルに娯楽として振り切ったブラックコメディなのかなと。
徹底的にキャラクターの誰にも共感めいた感情が湧かないように作っているところが良い。だからいくら主人公が不運に見舞われても可笑しさが勝る。
不条理なのは主人公だけで観客から見ると例えは悪いがきれいに計算されたピタゴラスイッチ劇に見える。整然としすぎているがゆえに非現実的で、だからこそフィクションとして楽しいし、そのハマりっぷりの気持ち良さがそのまま映画の魅力に直結している。ラストが爽快。
眠気覚ましに顔を洗い、少しずつ服がボロボロになっていく様がめちゃ面白い。
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