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オーケストラ・リハーサルのarchのレビュー・感想・評価

オーケストラ・リハーサル(1978年製作の映画)
3.1
由緒正しい礼拝堂でオーケストラがリハーサルをするというワンシチュエーション・ムービー。
どんどん破綻していくオーケストラの様子を描いて、それはオーケストラの組合や音楽に対する姿勢への変化への風刺的な側面が大きく出ているように思う。
ギャラ無しの宣告からはじまった指揮者への抵抗と反逆。そこに炙り出されるのは本作がオーケストラの在り方や音楽が時代に沿って変容したことと階級闘争を上手く絡めた物語であるということ。

楽器=個性で描けるのはあの空間故のことであり、あそこは音楽ファーストの異質な空間に仕上がっていたように思う。だからこそ指揮者への反逆が社会での階級闘争になるわけだ。面白い世界観を作り上げていた。

今作はこれまでの色彩の異質はなく、白を基調とした世界を作りあげ、そこが汚されていく様でオーケストラの崩壊を演出していた。
また本作はテーマの性質上視覚より聴覚を意識した作品になっているのもそれ故だろう。

ニーノ・ロータの最後の作品、これまでのフェリーニの作品への貢献の大きさは言うまでもありません。彼の本業であるクラシックを手がけたことは彼への最大の賛辞になっていたのではないかと思います。
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