前半は91年『愛がこわれるとき』を彷彿させるサスペンス調なのに、さすがJ.Lo作品。後半とんでもないことになっています。まるでいじめられっ子の少年が異世界に行って強くなって帰ってきていじめっ子を返り討ちにするファンタジー映画みたいなことになっちゃっています。
スリムが弁護士に相談に行った時に弁護士は「あなたは自分から危険に飛び込んだ」と言っていたが、このセリフがこの映画の全てを物語っていた。
逃げる時もわざわざ夫に見つかりやすいようにしているし、子どもから目は離すし。
ジェニロペにアクションやらせたかっただけみたいで、それ以外の描写はかなり適当。いや、アクションも適当だったけど。
DV夫から逃げるために夜中に家を抜け出したわりに、宿泊先も用意しておらずクレジットカードでホテルに泊まろうとしたりと全く危機感のないスリム。
その後も元カレの家に身を寄せたり、疎遠になっていた富豪の実父の援助を受けたりと他力本願のご都合展開。更にはDV夫と対決するために格闘技まで習い始める。もちろんこれも富豪実父のコネ。
正当に離婚するって選択肢はないらしい。
夫は夫で建設会社の社長らしいけれど、盗聴したり逆探知したり殺し屋まがいの偽FBI雇ったりと、何者やねんみたいな設定。でも雇った偽FBIもマヌケで部屋の中に隠れてる二人を見つけられないところが好都合。
ワンシーンごとに突っ込みどころ満載。
ラストは見るからに一方的だったのに、どう弁明するつもりだったんだか。
J.Loファンの為の映画なので多少の話の矛盾は覚悟していたが、一つだけJ.Loと言えども見過ごせないシーンがあった。
子どもが寝ているベッドの中で元カレと抱き合ってキスするって、夫の浮気やDVより罪が重いですよ。
スリムには03年『ディボース・ショウ』のマイルスを紹介してあげたい。
