喜連川風連

殺人狂時代の喜連川風連のレビュー・感想・評価

殺人狂時代(1967年製作の映画)
4.0
さすが、喜八!理屈抜きに面白い。

普段はなよなよしている男が、女のために本気を出すアクションはまさにルパン三世の源流。

人が電車に飛ばされたあと、すぐオムライスにケチャップをかけるシーンをつなげることで、死を暗示する。

人が落ちた瞬間、クラッカーを打つシーンにつなげ、死を暗示する。

車の窓に回想シーンが差し込まれ、影絵のように人物が浮かび上がるシーンも印象的。

さすがの岡本喜八演出!計算され尽くされた画面を堪能。こんなハイセンスなマッチカットができるのは今の実写映画監督にはいない。

アクション展開・ダイナマイトを使った大爆発・西部劇・スペイン決闘・キチガイ集団、てんこ盛りの90分。

チャップリンの殺人狂時代へのオマージュ多数。
「1人を殺せば殺人者だが、100万人を殺せば英雄だ」

途中で主人公の仲代達矢の声の音域が変わる。そこから一気にコメディ役者から2枚目に変貌するのも見事。

仕草と声で人物を説明し切る。

ドイツ表現主義のようなアニメーションを使ったオープニングを含めたアート的表現を西部劇風アメリカ娯楽映画でまとめている唯一無二の映画!
海外では絶賛。日本では不入り。

こういうものを撮りたい。
喜連川風連

喜連川風連