針

殺人狂時代の針のレビュー・感想・評価

殺人狂時代(1967年製作の映画)
3.8
仲代達矢演じるとぼけた犯罪心理学講師が突然殺し屋に命を狙われ、その理由を探っていく、というお話なのですが、テンションが妙に緩くて笑えるシーンがいっぱいあるヘンな映画。ナンセンス・コメディー・スリラーという感じ?

演技も演出もすげえ大袈裟で苦笑いしちゃうところも多い反面、軽快すぎるテンポと場面転換の鮮やかさには心がときめきました。全体的にチープさが漂う作品なのですが爆薬だけはいっぱいあったようで、バンバン爆発しまくるシーンでは大笑い。ラストも一応きちんと〆ているのが妙。

キャラクターとしては殺し屋集団を率いる博士(天本英世)が面白かったです。ヒトラーに惚れたと言ってたけど、確かに思想的にも演説の才的にもかなり似通った人物でした。

鈴木清順のギャングものがちらっと頭をよぎりましたが、今作の場合は世界の水準がひっくり返るところまではいかない、言い換えると娯楽に徹してる感じがしました。

岡本喜八はできれば全部観たいなー。
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