Kientopp552

ツナグのKientopp552のレビュー・感想・評価

ツナグ(2012年製作の映画)
2.0
 死とは、人生という列車の「終着駅」である。終着駅に着いたら、人は列車から降りなければならない。乗っていた列車はもうそれ以上は進まないのである。故に、死後の世界などは存在しなのであり、死後とは「無」なのである。死後の世界というものは、生者の願望でしかない。

 以上の前提から出発すれば、本作のフィクション構成はナンセンスであり、生者が死者と豪華ホテルの一室で、お互いに話せたり、或いは、物理的に接触できたりする訳がない。(因みに、この豪華ホテルは、横浜にある、1927年創業の「ホテルニューグランド」で、入り口から上りかける、タイル張りの階段と、上った二階にある、古色蒼然としたエレベーターが印象的である。)

 しかし、である。仮にある人が死に際にあり、自分の人生で会った人たちの中で、最後にもう一度会ってみたいとして、それが誰であり得るかという設問は十分意義のあるものである。そう考えて本作を観れば、それはそれなりに意味を見つけることができるであろう。
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