この時代に多く作られていた女性映画の中でも、
一、二を争う抜群の出来栄え。
女性同士の友情、確執、嫉妬、母としての子供への愛情などなど、
この作品にはすべて詰まっている。
結婚して3児の母親となったシャーリー・マクレーンは、昔、バレエのトッププリマを争っていたアン・バンクロフトと再会。
シャーリーの娘レスリー・ブラウンもバレリーナを目指していて、アン・バンクロフトはその才能に注目して、自分のバレエ団に入団するように勧める。
順調に才能を発揮する娘だったが、自分の娘に、まるで自分の娘のように接してくるアンの姿をみて、シャーリーは、かつて役を奪われた思いがダブってきて、アンに対して嫉妬に近い思いを描く。
シャーリーにとって、理想の人生を歩いているように見えていたアンも、年齢からくる衰えに不安を抱えていた。
そうして二人は、
互いに鬱積した思いが爆発し、
取っ組み合いの大喧嘩を始めてしまう・・・
シャーリー・マクレーンとアン・バンクロフトの二人が、対照的な生き方をする人生ドラマですが、相手のことはうらやましく思えるんですよね。
この、ないものねだりを、
二人の大女優は見事に表現しました。
人生の選択をしたのは自分なんだから、自分の生き方が一番幸せなはずなのに時々不安になる気持ちわかります。
バレエを捨てて家庭に入ったことも自分で決めたことで、
そこに夫への愛情や、家族の幸せを感じるシャーリーの演技はほんとにいい。
監督が元バレエ振付師だったハーバート・ロスだから、
劇中のバレエの描写は実にお見事。
ソ連から亡命したミハイル・バリシニコフをはじめ、
踊っているのが皆本物という贅沢さ。
シャーリーとアンが、二人の人生をしみじみと顧みるラストシーンまで実に気持ちがいいのですが、個人的にはプレイボーイの、ミハイル・バリシニコフに一泡吹かせてやりたくなったりしました。