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次郎長富士のtjZeroのレビュー・感想・評価

次郎長富士(1959年製作の映画)
4.0
長谷川一夫、勝新太郎、市川雷蔵…という豪華なトリプル主演作。
洋画だったら、マックイーン、ニューマン、レッドフォードのそろい踏みのようなど迫力。

長谷川の凄み、豪放でお茶目な勝、鋭利な雷蔵…三者とも刀さばきが鮮やかなだけでなく、その前段階の眼力、ひとにらみでもう勝負がついちゃってる感じの強いオーラ。

華を添える女優陣も、京マチ子、山本富士子、若尾文子(あやや!)、中村玉緒(夫婦共演)…と、こちらも満開のあでやかさ。

あまりガチッとした筋立てはなく、10分おき位に討ち入りという名の大げんかがくり広げられ、陰にこもってなくてスカッとしている。
物語に縛られない分、それぞれのスターの持ち味が存分に発揮され、お花見弁当のような楽しさ。
テンポよくカラッとした演出(森一生)も快調。

それにしても、昔のヤクザって今とだいぶ違う。
堅気には絶対に迷惑かけないし、悪代官は退治する…まさに庶民の味方。弱きを助けて、強きをくじいてる。

実際はもっと薄汚れていたのかもしれないけど、現実により即しなくていい分、理想像を追求できる良さがある。それが時代劇や西部劇の最大の魅力。

現代劇のやくざモノとはまるで異なるさわやかさがある。もちろん、今現在の○口組の抗争なんかとは遠く隔てた距離。
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