タルコフスキーの自伝的物語として少年時代の思い出、ロシアや世界の歴史、家族についての断片的なイメージ映像が挿入され形作っていく。
これらの私的な映像がとりとめなく交錯する複雑な構成で、みるものは秩序なく感じてしまい、断片的に挿入され続ける混乱を覚え、さらにモノクロとカラーの使い分けであったり、過去と現在パートの時系列がシャッフルが頻繁に行われ、さらに理解が追いつかなくなる。
加えて、登場人物ふたりが同じ俳優で時間によって役が異なるものの、こちらも説明に乏しいため、一層迷うことになる。
尚、本作においても、他のタルコフスキー作品同様に水を用いて非常に美しい画として捉えられ、危険な美しさを孕んだ映像に魅了される。
さらに、本作では火、風、光なども加わり、豊かな自然のエネルギー圧倒される。
タルコフスキーがこのように断片的なピースを散りばめ、再構築した、これら難解さを乗り越えて先には、タイトルに込めた「鏡」のように、その世界観に反射されてしまう洗礼を受けるのか、はたまた吸収されてしまい、一体感を体感出来るかもしれない。