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鏡
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『鏡』に投稿された感想・評価

◎全くもって理解できない。けれど、確かに心は震えていた。

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「頭で理解するのではなく、体感せよ」と、鑑賞前の自分に言いたい。ピッチピチの25歳の僕にとって、本作を見るには早すぎた。

正直言うと、笑ってしまうくらいに訳が分からない映画だった。けれど、確かに五感は疼いていた。さざ波のような鳥肌が全身に広がっていく瞬間を、幾度となく経験させられたから。

スコアは2.9点だが、忘れ難い映画になることは間違いなし。この監督の映画は、他の作品も必ず見たいと思う。
やっと見れたタルコフキーの傑作。
彼が作るものはどれも傑作と言われているが、本作品は彼の自伝的な(もはや自慰的な)映画であるだけに、タルコフスキーを知るならこれを見ねば!というシネフィルが多いらしい。かなり難解な内容ではあるが、僕は何故か最後不思議と納得できたので点数高くした。まあ内容がいまいちでも鑑賞者を唸らせる映像がとまらない、というかそれしかないので高いんだけどね。

観終わって一番思ったのは、タルコフスキーが親の愛をしっかりと感じていないが故に、この作品で『自分に対しての親からの愛(特に母の愛)』を正当化させようとしたのでは?ということだ。作中で『君を見るとき僕は母を思い浮かべる』という気持ち悪いセリフが飛ぶのだが、ある意味これは本作品の核をついていて、男性及び人間が本能的に持っている『母性を求める欲求』が、現在・過去・大過去・夢の交差した記憶を飛び回りながら、妻と母(作中では同一人物が演じている)という二人の偉大な「女性」を作り上げているのではないだろうか。そしてその飛び交う断片的な記憶の架け橋として『鏡』が存在しているように感じた。

記憶は、その物を覚えようとするのではなく、その状況や感覚を覚えようとすると定着しやすいと耳にしたことがある。つまり、テストのために英単語を覚えるとして、その単語自体を覚えようとするのではなく、その単語を覚えようとしている状況を覚えるということだ。本作品における鏡の役割もそれに似ていて、常に描かれる記憶のどこかに鏡がある、つまりタルコフスキーは鏡という共通の物体を利用して母や妻を記憶し、そして結びつけていたのではないだろうか。その鏡を通して見える、燃える納屋や屋根の桟から滴る水。それがタルコフスキーの誇張された芸術的な記憶の断片であり、我々第三者はその記憶を垣間見ていると言える。

ラストは圧巻。バッハのヨハネ受難曲に合わせて、風が靡く草原にそれぞれの記憶の断片が集合する。タルコフスキーを産む前の母、幼いタルコフスキー、晩年の母、遠くにいるのが妻かタルコフスキーか父か…(わからない…)。このシーンがあるおかげで、それまでの難解な2時間弱がまとまった。

途中途中で入る各戦争の記憶は果たしてどういう意味があるのか。いまいちわかんなかった。それが時の経過を表しているのか。タルコフスキーの表面の記憶的な。

もう一回見よう。
ワンコ

ワンコの感想・評価

4.3
【タルコフスキーを通して世界を考えてみる】

この作品はいろいろ考えることがあって、嫌いというわけではないが、とても苦しくなる。

散りばめられた情報が多くて、こういうことだろうか、というところにたどり着くのがそもそも大変だし、まあ、本当にそうかも判断がつかない。

吃音の矯正を試みる少年が映画のカメラに正面に向かって話す場面、これは、きっと鏡に向かって、つまり、自分自身に向かって話しかけているのだと思う。

父親の鏡に映った姿が自分。
父親の詩を朗読しているのはタルコフスキー自身だ。

妻は母親の鏡に映った姿。

そして、息子は自分が鏡に映った姿なのだ。

ロシアの歴史的・宗教的な特異性も語られる。
西欧とは異なるキリスト教の歴史、つまり、カトリックやプロテスタントではなく、正教の流れを汲んでいるのだ。
気にも留めたことはなかったが、ロシア人にとっては、これはコンプレックスなのだろうか。

モンゴルの侵攻をくい止めた歴史もある。
ロシア人にとっては誇りであっても、その恩恵を受けたのは西欧で感謝もされない。

戦争や政治的な映像をフラッシュバックさせる場面もある。

スペイン内戦から、日本に落とされた原爆、中国の毛沢東語録をかざして熱狂する人々の姿。

個人から、家族、民族の歴史から、世界の歴史まで淡々と範囲を広げて映し出すことで、何か、僕達が決して逃れることの出来ないものが、過去には明らかに存在するのだと言っているかのようだ。

この作品はタルコフスキーの自伝的な要素が多く含まれているというが、もし、自分と家族の関係を鏡に映し出されたものとして捉えているのだとしたら、少し悲しい気もする。

僕はもっと自由であるように思うからだ。

ただ、それこそが、もしかしたら、ソ連時代の、自分達自身の自由の無さを表現しているのだろうか。

スターリンを経験したソ連の…。

タルコフスキーが亡くなってからも、世界から抑圧や紛争は無くなっていない。

新たな価値観を受け入れられない閉塞感もある。

僕達は自分達を鏡に映して、考え続けなくてはならないのだろう。

ただ、僕には、タルコフスキーは、この作品で、乗り越えられるという希望を見せようとしているような気がしてならない。

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